【会社が借りているレンタカー・リースカーによる事故】
(1)レンタカーによる事故
レンタカー業者は申込書に車を貸す際、当人の資格審査を行い、用途制限もします。
また注意事項違反のときは契約を解除する権限を有します。
また車は短期間に返還されることが予定されていますので、運行に対して支配権を有し更に賃料をとることで運行による利益も得ているとして、レンタカー業者にも責任を負わせるのが通常です。
(2)リースカーによる事故リース会社に関する判例はあまりありませんが、貸借が長期に渡る関係である為リース会社に運行支配権がないとされるのが通例と思われます。
また、車を借りた会社がその車の経費、修理費等を全面的に負担していれば、リース会社には一層責任が及ばなくなるものと思われます。
以上のように、車を貸しているレンタカー業者、リースカー会社の責任の有無は別として、車を借りた側の会社はまず責任を免がれないでしょう

【判例】
レンタカーの好意同乗者の被害につき、レンタカー会社はレンタカーを不特定多数人の利用に供しえる状態において管理し、賃貸借契約によって運行の機会を与え、時間的空間的制禦し、賃料を徴することによって運行による利益を保有していたとして、レンタカー会社に運行供用者責任を認めた例
(金沢地裁昭48.12.13判決)
レンタカー会社は貸与に際し自動車利用申込者につき、運転免許の有無を審査し、使用時間、運転者等につき制約を付し、しかも短時間に返還が予定されていることにより、その運行を支配している。
また賃借人より賃料を取得することにより、その運行による利益を享受しているとして、レンタカー会社に運行供用者責任を認めた例
(福岡高裁昭49.12.18判決)
レンタカーを賃貸するに当り、借主の免許証の有無を確認し、使用時問、行先を指定させて走行キロ、使用時間に応じて預り金の名目で賃料の前払をさせ、行先を変更する場合には、返還予定時刻の3時間前にその旨の連絡をさせ、これを怠った場合には、倍額の追加賃料を徴収するものとされ、
また車両の整備は、常にレンタカー会社の手で責任をもって行われ、賃貸中の故障の修理も原則としてレンタカー会社の負担であった場合において、レンタカー会社に運行供用者責任を認めた例
(最高裁昭50.5.29判決)(交民集8巻3号595頁)
A社(リース業)が、その所有するクレーン車を元請会社のB社(運送業)にリースし、B社がその車で下請会社C社に作業をさせていた場合についてA、B両社の事故車に対する運行供用者責任を認めた事例
(東京地裁昭58-12-23判決)(交民集16巻6号1734頁)
○借りた側が責任を負うのは当然のことなので、これに関して争つた判例は見当りません。
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